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膝を二度手術した足が、ジョギングできるようになった:医者の考え方と運動靴

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いまから10年ほど前、不運にも(だいたい不運な人生。とくにひときわ不運)小走りながら道路を渡ろうとしたときに縁石に躓いて、右膝から落ちて右膝を思い切り打った。
 
その後、かなり痛いけれども、そこそこ歩けたのでほうっておいたが、どんどん痛くなるので、病院へ行った。
 
(幸い中の不幸)骨に異常がなく、「気のせい(心身症や自律神経失調症などでは、原因がない(悪くない)のに膝が痛いと訴える患者がいると。その症例と間違えられたらしい)または単なる打ち身でしょう(「でしょう」が大事。「曖昧さ」)」ということで、さらに放っておくことになった。
 
けれども、症状は悪化。

ますます痛くなり、ついに半年後、歩けなくなった。そのときまでに4軒の医者へかかったが、どこでも「気のせいまたは単なる打ち身でしょう」ということだった(このうち3軒は大病院、あとの1軒は大学病院。初めて誰も診断してくれないけれど、とても具合が悪いという体験をした。恐怖だった)。
 
もうじっとしていられないくらい痛く(じっとしていても痛いのが度を超すとじっとしていられなくなる。膝痛は、動かすと痛いけれどもじっとしていると痛くないタイプと、動いてもじっとしていても痛いタイプと大きく分けられる。後者の方がたちが悪いので早く医者にかかる方がよいというのは、あとから医者に聞いて知った。これは目安として大事だと思ったので、覚えておくとよいと思います)、冬だったが、羽毛布団が、重苦しく痛くて掛けていられず、高い(かさ高ではなく値段が)高級な軽くて暖かい羽毛布団を(仕方なく、お金に余裕があったのではなくてほかにかけられるものがなかった)買った。
 
4軒目でなんだかいつまでも痛くて様子がおかしいので、見立てができるというのでは評判の(診断が優れている。結局、医者ってこういうことなんじゃないのかと実感した)医者に紹介状を書いてくれた。
 
この5軒目のお医者さんが(このお医者さんには「お」と「さん」を敬意を込めてつけ加えたい)診察台で足を持ち上げて、二、三回曲げ伸ばししたあとで、
「これはすぐに手術しないとダメだ、さぞ痛かったでしょう、よくこんなになるまでがんばりましたね」
 
と言われた。

わたしは、泣いてしまった。


結局、診断をつけてくれたのは、この小さな整形外科単科病院だった(小さいけれど手術や入院ができる。Jリーガーや野球選手や格闘家が手術を受けに来るというのも後で知った。そういう病院があるのですね)。
 
こういう不運な事故に遭ったような方が、やはり整形外科を何軒も回って、わからなくて、つらい思いをして困っている可能性がある(かもしれない)ので、このお題はスルーせずにぜひ書き残しておきたかった(賞味期限切れのお題を書こうと思った理由その1)。

注:はてなのお題になっていた。間に合わなくて言い訳を書いている。


膝の軟骨組織その他が関節にはさまり、骨と骨の間の潤滑が悪くなり、関節をささえる骨が(二本ね)壊死してしまっていた。
 
すぐに手術をしたものの、3時間くらいかかってもなかなか取り切れず、骨の動きは悪く、血流も戻らないので、一ヶ月後に再手術となった。


二度目の手術の翌日、お医者さんは、
「やっぱりかなりひどいので、このまま(退院しないで)もう一回(三度目)やりたいから。ただ、一週間くらい空けたいから、その間リハビリしようね〜」
 
そうして、この病院始まって以来の長時間リハビリを受け(一日五時間)、一週間後、奇跡が起き(神様ありがとう)、わたしの膝はカムバックを始めた(血流が通り、壊死が治る可能性が高くなったということ)。
 
こういう大けがの場合(中ケガでも小ケガでも同じか)、あるとき(ケガが治るまで)は、ほんとうにほんとうに気をつけて、歩きたくてもがまんして、やりたいことがあってもがまんして、大事に大事にしないといけない。


が、


わたしの愛する主治医は、「治ってきた」と判断するやいなや、こんどはリハビリの鬼となった。

治すことに力を入れる病院なので、リハビリがものすごく特化して厳しい。スポーツ選手たちを治しているノリで一般患者もトレーニングしていく。

あとで、聞いた話だと、入院(ドアを入ってくるときには)車いすや満足に歩けない状態や担架でも、退院(ドアを出て行くときには)人間らしく歩いて出て行かせるのが、そこの合い言葉だそうだった。

 


病院は、大きくはないがけっこう有名らしく(後から知った)全国からややこしいケガ人が他の病院から密かに送られてくる(自分で来る人や救急車で来る人やいろいろ。 密かにというのは、転院が多いから。手に負えなからと言われてここに移ったと言う人が多かった。みなややこしい手術で、わたしのケガが軽い部類に思えたくらいだ(当然だけど)遠方の人は家族も来てアパートを借りているらしかった)。
 

 
歩けない間もずっと膝の回転を千回とか続けていた。その後、半年位して、こんどはやたらと歩くリハビリになった。松葉杖で歩く歩く。泣きながら(痛いから)近所の川っぺりをひたすら歩いた。
 
本題はここからだ(賞味期限切れのお題を書こうと思った理由その2)。
 
松葉杖がめでたくも取れたとき、ウォーキングに変わった。そのときにちゃんとした運動靴を買わなくてはいけなかった。


それまでは、まともな靴は重くて痛くて履けないので、最初はただのスリッパで歩き、そのあと、室内履きで外を歩くようにして、その後、サンダルのようなものになった。
ウォーキングはさすがにしっかりした運動靴でなくては危ない。


東京の駒沢オリンピック公園のなかにあるスポーツ店に、すごい方がいるというのをどっかで聞いて(どこでだれに聞いたのがみごとに忘れた)杖をついてはるばる行った(いまもいらっしゃるのか、いまもお店があるのかわからない。その節はほんとうにお世話になりました。ありがとうございました。とお礼を言いたい。言ったことにしよう)。
 
運動靴選びごときに、なぜこんなに慎重になるのかといえば、そのときまでに、歩き方や足の形、 膝への負担などを軽減していくために、独自の足底版(いまでいうところのインソール)を作っていたので、そのがっちりした足底版が運動靴に入らなければいけない、その足底版があって、それでなお、うまく運動靴がきのうしなければいけないので、それは、専門家でないとなかなか難しいのだった。


じゃあ、整形外科に出入りしている、技師さんが選んでくれる靴の方がいいんじゃないのということになるかもしれないが、そうすると、「足底版本位」になってしまい、歩く機能や走る(すてき!)機能への進化(歩くから、よりよく歩く、一般人のように歩く、そしてできたら走ってみたいという夢)へつなぐというより は、「一応二本足で、なんとか歩けるようになるというところでオッケーとする」方へ重点が置かれる(ような気がする)。

 

だから、あえて、次への飛躍へ賭けて(駆けて)行くためにスポーツショップの人に会いに行った。

 

難しい顔で(あまり愛想のよいタイプではない、職人のようなおやじさん)わたしがよろよろ歩くのを何度も見て、足底版を見て、膝を診て、

 

しばらくどっかへ行ってしまったのち、たくさんある(ほんとうにたくさんある)運動靴のなかから、たったの二足の運動靴を選んできた。

 

どっちかだね。

 

二足だけなんですか?

 

そうね。履いてみて決めたら?

 

いつも、たくさんのひらひらしたもののなかから「予算」にほぼ照準を合わせ、そのなかで好き勝手に「もの」を選んできたわたしには、度肝を抜かれる選択方法だった。


 色も、形も、メーカーも、履いたことがなくて、派手だし、ちょっと高いし(どうせろくに歩けないのに)どうしよう、決めないと運動靴なしで帰らなくてはならない。でも、そうすると、リハビリが滞ってしまう。

 

なぜか、その二足以外という選択肢を申し述べられない、威厳というか、ある種のきっぱり感が漂っていて、直感的に、たぶん、これは正しい選択なのだろうと思ったのを覚えている(きっぱりしていて怖かったし)。

 

もーいーや。

一足決めた。(というか、おやじがこっちがいいと言ったのでそうした)

 

そして、これがそれ([アシックス] asics ランニングシューズ LADY GEL-KAYANO 22

いまでは宝物の運動靴。

 

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いまのものは少し変わっているかもしれない(進化?)。

 

アシックス・ゲルカヤノはいろいろあるようです。

 

ひと言で言えば、この運動靴と、あの店員さんには猛烈に感謝している。

 

この運動靴で、歩けるようになり(足をひきずらないで、一般人のように)、やがて杖が取れ、バランスが良くなり、さらに5キロくらい歩けるようになり、

さらにさらに、いままでまったく走ったことのない、運動嫌いのわたしが、ケガをきっかけにさらさらなる進化を遂げて、スロージョギングだけども、なんと5キロも走れるようになったのだ(休まずに。のろいけど)。

 

それまでの生涯では、まったく走れなかったので、その感激は、想像にかたくない。

 

その後、リハビリ終了ということで、距離を伸ばすこともせずに、スロージョギングは卒業してしまったが(年齢もあるし、膝へあまり負担を掛けたくないので)、いまでもこの運動靴でウォーキングしている(ボロボロだけど愛着仕様)。