小さな小さな庭に、ずっとほったらかしてあった「ソテツ」が居た。
いつからかわからないくらい昔から居た。
が、ほったらかしてあったわりには元気「そうで」それなりに育ち、身長は1メートルを超えて、葉っぱも結構茂っていた。
去年、その場所を少し片付けたいと思い、ほかの地植え植物とともに移動することにして、掘り返し、もっと日当たりのよい、本人(植物だけど)の気に入った場 所が見つけられるようにと、大きい植木鉢*に移植して様子を見る
*大きい植木鉢:木製で、底がプラスチック製の網になっていてとても排水と通気が良くて植物を育てやすく、見栄えもよく、さらに軽くて、取っ手がついていて移動しやすいのでお気に入りの鉢。もしも買うときには、注意しないと底がプラスチック製のスノコではない、ただの木に丸い大きな穴があいているだけの「そっくりな」鉢が存在する。安い。そっちだと底が腐りやすく穴をふさぐ網をはる工夫がけっこう大変なので、気をつけるか、覚悟して買う。
これは、お気に入りの方の鉢。
こと、一年。
上部に(植わっている上の部分)に変化が全くなくて、はっきり言えば、安否が確認できない状態が続いた。
移植したときに、全部開き切っていないこれから開く様子の黄緑色の若い葉っぱが一枚にょっと出ていた。
真冬もソテツはその葉っぱを一枚出しているままだった。
春になって、も、ソテツはそのままだった。ちょうど一年、まったく変化のない、同じ状態のソテツを、見守り続けた。
だいじょうぶだと思う。春になったらきっとこの葉っぱはきっちりと開き、そして、その横くらいから、小さなもっと淡い黄緑色の幼ソテツ葉が出てくるにちがいない。
と、いつからか、そっけない姿形でもなんとなく愛着が沸いてきて、かわいいとまではいかないけれど、しっかりしろ、大事にしてあげるからね、と話しかけたりしていた。
が、春になって、ほかの植物たちが一斉に春に気がついたように芽を出し、成長し、葉っぱをいっぱいいっぱいにしているのに、ソテツはまったくそのままだった。
ついに、決断することにした。
こいつは生きていない。
いつだめになったのかはわからないのだけど、引っこ抜いてみたら、みごとに根っこは残っていなかった。
それでも、黄緑の葉っぱはあったし。
ソテツの安否確認は難しかった。
改めて、この一年を振り返ってみると、ソテツにかなり入れ込んでいた。
ここいらへんの土地でも、何年も冬を越してきた、かわいいやつだったんだ。
こういう心境になると、園芸家ぽい人だったら、考えつくことがある。
もう一回、ソテツを育てたい。
すでに園芸屋(郊外の広くて、根っこのしばってある植物がごろごろころがっているような)にも見学に行ってきた。
想像を超えて、ソテツ群は価格が高かった。
う〜ん、やはり大型の植物は、小型のものを購入して、丹精込めて時間をかけて育てていくのが醍醐味だ。
小さいソテツを買おう。
(すでに物色済み。一年枯れ保証がついているなんてステキ!ただし、安否確認は難しい)